セムラーイズムの衝撃

セムラーイズムの衝撃

ずいぶん昔の話になりますが、30代に読んで衝撃を受けた本にセムラーイズムがあります。

セムラーイズム

この本は、ブラジルに実在する製造会社のセムコ社が、危機的状況ともいえる経営不振から奇跡的な復活を遂げる過程を綴ったノンフィクションです。

当時の私は、ビジネスマンとしての壁というか、いわゆるヒエラルキー組織に違和感を感じていました。

そんなおり、上野の本屋でたまたまこの本が目に入り、パラパラと眺め「これは!」という直感が働き、早速買って帰り、一気に読了しました。

読んだ感想は「こんな会社があるのか・・」という衝撃と、読み進めるにつれて「これはありうる!」という確信のようなものをいだいて、いつかこんな企業に身をおきたいものだ、と思ったのを覚えています。

この本では、ブラジルに実在する倒産の危機にあるセムコ社を、若き二代目経営者リカルドセムラーが、社内外の様々な軋轢と奮闘しながら再建していく過程が詳細に描かれています。

再建にあたった経営者のリカルドセムラー自らが、著者として執筆していますから、臨場感あふれリアルに表現されています。

その経営スタイルの本質を表現するのは、筆力の乏しい私では難しいのですが、今までの経営手法とは全く違ったアプローチをとっています。

従来の企業経営手法が、トップダウンのヒエラルキー式なのに対して、リカルドセムラーは「個人の主体性を尊重したボトムアップ式の企業カルチャー」を醸成すべくアプローチします。

その過程においては、山あり谷ありなのですが、リアルなドキュメンタリータッチで綴られています。

詳細はセムラーイズムを読んで欲しいですが、在宅ワーカーやノマドワーカーなど様々な就労スタイルが急激に普及しつつある現代こそ、改めて見直されていい経営スタイルと感じています。

というのも、経営者の眼の届かないこのような就労スタイルでは、スタッフを常に管理することは出来ませんから。

最近は、働き方改革など政治の世界でも議論されているようですが、制度を作っても「仏作って魂入れず」になる危惧を感じるのは私だけでしょうか?

制度とあわせて、個人の主体性を発揮させる企業カルチャーを作り上げる事こそ肝心な気がします。

こんなにいい本なのに絶版になってしまっているのが残念です。中古でも流通しているようなので、少し高額になりますが、興味のある方はぜひ読んでみることをお勧めします。

追記>
セムラーイズムとは妙な縁により、年を経て思わぬ繋がりが派生するのですが、その話は別の機会に譲りたいと思います。


※復刻版も文庫として一度再販されたのですが、こちらも、絶版になってしまったようです(>_<)



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